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なぜ日本人はこんなに働いているのにお金持ちになれないのか? / 渡邉賢太郎

お金を「信頼の媒介物」として捉えなおしていただくことで、私たちが日々の「買い物」や「投資」を通じてお金を使い、だれかに託すことは、他者に対して信頼と感謝を示す行為になります。
(p.338)

ポイント

・もともとお金という存在を得ることで、人々は自分の好きな仕事をすることができるようになった。
お金を道具として捉えるか、目的として捉えるのかが、お金を持つことと幸せとの関係を左右する
・所有から共有へ、消費の仕方も変化していく。

不幸なお金持ちと、貧しくても幸せな人々

就職について、将来について考えることは、自分のお金に関する価値観に向き合い直すことであると気づいたのは意外にもつい最近のことでした。同時に、女の子はよくお金の話をします。結婚相手に全く経済力を求めない人に、私はあまりあったことがありません。お金は、一番の重要事項ではないけれど、持っていた方がいいよね、というのがそういう会話のいつもの結論でした。

でも、それにも関わらず私はこれから安心してキャリアを積める階段の一段目を強めにハンマーで叩き割ろうとしています。それか、階段を無視して歩き出そうとしています。そして、そうやって安定して企業に入ろうとしないことに対して、不思議と将来への恐怖みたいなものを感じていないのです。

それは私がお金を目的ではなく道具として使いたいと直感的に感じていたからだと思います。どこまでお金を稼ぎたいのか、お金を稼いで自分が得たいものはなんなのかということをどこかで考えていたのです。

子供を教育するためにお金はあった方がいい。好きな時に好きなものを食べ、旅行に行って色んな土地を見て回れるような余裕は欲しい。でもお金を稼いで富に溺れることが目的ではないのです。だからお金という視点で見た時に一番手っ取り早くそれを手に入れる道を、他と比べて刺して魅力的に思わなかったのだと思います。

信頼の媒介物とは

物々交換をしていた時代は、貨幣という媒介物によって終わっていきました。そしてお金は長きにわたって私たちの生活を支配してきました。(この力の強さは支配と言えると思います。)

しかし、本来は信頼を表すモノに過ぎないのです。それを忘れてお金をただ増やそう、あるいは減らさないようにと躍起になる人々は、どんなに巨額の富を手に入れても幸せを感じることは難しいのです。

新しいインターネットのサービスが登場し、なんでもシェアする時代へと変化しています。そこでは信頼が互いの評価として表され、サービスを得るにはその評価を得ることも必要になっています。消費の仕方が変化する中で、単純なお金以外の価値も重要視されるようになりました。

何を価値としていきたいのかは個人によって違います。しかし、幸せの基準がお金では測れないことは全ての人が意識して知っておかなければなりません。なぜなら、それを知ることは無意識に自分が持つ価値観を改めて認識することになるからです。

価値観が変化している時代だからこそ、自分が何十年いきてきた社会が根底に持つ価値観を知ることは自分を知ることとして重要です。その上で社会ではなく自分が幸せと感じる生き方を堂々と追いかける人になっていきたいです。

約3行感想

「おかねもちになりたい」それは小さな頃から思っていたことでした。でも本質的には、自分の好きなようにいきたいとか、社会に縛られず、時間に縛られず自由に生きたいとかいう願望への漠然としたイメージでしかなかったんだと思います。本当に自分が得たいものは何か、お金なのか。それを選ぶ時がきていると感じています。