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【2020年】今こそ読みたい!おすすめ恋愛小説厳選10作

読了後、あたたかなエネルギーに満ちる本

恋をすることは人生の全てではない。でも、一緒に時を過ごす大切な人は、間違いなく「いきる」ことと結びついていく。
すごく激しいわけではないけれど、読んだ後大好きな人を抱き締めたくなる、自分を甘やかす旅にでたくなる、そんな心を動かすビタミンのようなお話をどうぞ。

『カフーを待ちわびて』原田マハ

  • 優しい愛情度 ★★★★
  • ビタミン度 ★★★★
  • 沖縄愛 ★★★★
  • 全338ページ

舞台は沖縄の美しい小さな島。絵馬に書いた「嫁に来ないか」の言葉をきっかけに、幸という美しい女性が明青のもとを訪れる。小さな島でおばあと犬のカフーを交え、穏やかな島の生活が始まっていくが、幸は一体何者なのか。

南の島の空気が、言葉が、美しい景色が、優しくあたたかい気持ちを運んでくる、そんなお話です。時間のゆったりとした流れや自然の存在を感じながら、人間らしい明青と強くもどこか儚げな幸の魅力に静かにひき込まれます。

気になる方は▷カフーを待ちわびて (宝島社文庫)

『トマトの先生』石田祥

  • トマト度 ★★★★
  • はつらつ度 ★★★★
  • 素直になれない度 ★★★☆
  • 全255ページ

大家である祖母の代わりに家賃の回収を頼まれた早苗は、大学講師の日置と出会う。アパートの裏庭で彼の栽培するトマトのあまりの美味しさに衝撃を受け、熱に浮かされるように彼と寝てしまう。その後、日置の頼みで早苗は1ヶ月間の偽装婚約者として住み込みのアルバイトをすることになり、、、。

とにかくトマトの印象が強い強い!トマトの鮮やかな色やみずみずしさ、土の匂いなんかまで伝わってきそうな描写に溢れています。
トマトと真正面から向き合う日置と1ヶ月間過ごし、自分も植物と向き合ううちに、早苗にも変化が起こり始めます。早苗の認めたくない特別な感情と、もっぱら研究命の日置をもどかしく感じつつも、生命のエネルギーに満たされる1冊です。

気になる方は▷トマトの先生 (宝島社文庫 日本ラブストーリー大賞シリーズ)

『アムリタ』(上・下)吉本ばなな

  • 生きる力度 ★★★★
  • 脱・現実感 ★★★☆
  • 自由な旅度 ★★★★
  • 全599ページ(上・下巻)

妹が死に、自分は記憶喪失になり、弟に不思議な変化が起き始める。そして捉えられない日常のうねりの中で、亡き妹の恋人と恋仲になっていく。自分というものが定まらないまま高知、そしてサイパンへと旅をする中で、朔美は全身で生きること思い出していく。人の生死や出会いと別れを、感覚と生命を「超えた」存在と共に見つめ包んでいく長編小説。

「精神の充電」
ストーリーも物語に漂う空気も読了後の感覚も、精神の世界と非常に密接に関わり続けるお話だと感じます。生きることや、人間らしいことの、かけがえのなさを美しいと感じる感性を開く旅。旅先と日常を漂うように行き来する心の交わりを見つめること。恋愛の言葉の枠にとらわれない、不思議なエネルギーに満たされるお話です。

気になる方は▷アムリタ(上) (新潮文庫)
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