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【2020年】心動く物語と出会う|おすすめ小説厳選9冊

「感動」という言葉も「衝撃」という言葉も、ここに集めた物語にはしっくりこないような気がします。
ひっくるめることを許さない名作達を、ここであえてまとめてご紹介していこうと思います笑!
今回はそれぞれの作品が個性的な別々のジャンルのものばかりです。
あなたにぴったりな本との出会いを楽しんでください!

目次

仕事にかける情熱が沁みる本
 ・『舟を編む』三浦しをん
 ・『本日は、お日柄もよく』原田マハ
 ・『クジラの彼』有川浩

味わい噛み締めながら読みたい本
 ・『スロウハイツの神様』(上・下)辻村深月
 ・『MOMENT』本多孝好
 ・『永遠の0』百田尚樹_

現実をぐらぐら揺さぶられる本
 ・『コンビニ人間』村田沙耶香
 ・『ままならないから私とあなた』朝井リョウ
 ・『エンジェル エンジェル エンジェル』梨木香歩

仕事にかける情熱が沁みる本

『舟を編む』三浦しをん

ひどいコミュ障の馬締は営業部のお荷物。だが言葉へのセンスを買われて一転、辞書編集部に引き抜かれた。そして新しい辞書「大渡海」の完成に向けて、果てしない日々が始まった。辞書づくりに命をかける編集者を前に、だんだんと同僚たちも辞書づくりに情熱を持ち始める。そんな時馬締はある女性に出会い、、。

辞書。多くの人はぱっと訊いても興味をそそられる事のないもの。そこに言葉通り人生をかけて向き合い続ける人がいる。そのあまりの真っ直ぐさが、不器用すぎて、優しすぎて、心を打ちます。華やかな舞台とは言えない辞書づくりの世界の真剣さを味わう1冊。読了後、自分の言葉を大切にしたくなるはずです。

気になる方は▷舟を編む (光文社文庫)

『本日は、お日柄もよく』原田マハ

思いを寄せていた幼馴染の結婚式で盛大にやらかし、最悪の気分でいたこと葉。だがその席で伝説のスピーチライターの祝辞に心を掴まれる。久遠久美の言葉に衝撃を受けたこと葉は、すぐに彼女に弟子入りすることを決めた。そして次の選挙で政権交代を目指す野党のスピーチライターを任されることになり、、。

いつの間にかスピーチの奥深さに引き込まれる1冊。人の心を掴むスピーチの裏側には、洗練された絶対的な戦略と、真剣な思いがある。そして本書の中にも、きっと胸を熱くさせる言葉があるはずです。働くことへの情熱を思い出させ、そしてスピーチへの見方が変わる、エネルギーに溢れた1冊。

気になる方は▷本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

『クジラの彼』有川浩

自衛隊恋愛シリーズと言われる本書。表題作は、潜水艦乗りの彼をひたすらに待ち続ける聡子のお話。国防を担う6組の男女の恋模様を甘く甘く描いた恋愛小説。

激甘の有川作品の中でも、短編のこちらはいいとこ取りができるおすすめしやすい超入門編の1冊。自衛隊恋愛シリーズの「雲の中」「海の底」の番外編も収録されており、本書が気に入ったらそちらの重量級作品にもぜひ挑戦してみてほしい。衝撃度でいうと、本書よりシリーズ別冊は格段に上がるので、楽しんで噛み締めてほしいと思います。

気になる方は▷クジラの彼 (角川文庫)

味わい噛み締めながら読みたい本

『スロウハイツの神様』(上・下)辻村深月

「チヨダ・コーキのせいで人が死んだ」そう報道された事件の後、一時小説を書けなくなってしまったコーキ。そんな彼が住むスロウハイツには、オーナーであり脚本家の環をはじめ、芸術の道で夢を追う友人たち6人が共同生活を送っていた。好きなことに没頭し、互いに刺激しあっていた彼らだが、そこに新たな住人がやってきて、、、。

成功者とそうではないもの、才能とともにある苦悩。共同生活を送る家族のようなクリエイター同士だからこそ、生まれて消せなくなる感情たちもある。そして誰もが身を削って表現しようともがいている。必死で好きなものを追い続けること、夢への努力をやめないこと、そのどうしようもない尊さが溢れるあたたかな作品です。

気になる方は▷スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

『MOMENT』本多孝好

病院で清掃のアルバイトをしている大学生の僕。ある末期患者の願いを叶えたことで、患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。死ぬ前に願いが叶うとしたら。生と死の問いに向き合いつつも、僕はある噂を耳にして、、。

死に向かうとき人は何を思うのか。何度も繰り返される問いが、本書の中には願いとして散りばめられている。そして自分とは別の願いを叶える人物の存在にも迫ることになる。幼馴染で葬儀屋の娘の森野も交え、淡々と繰り返される死を前に、確かにある生きた証を静かにとらえる、じんわりとあたたまる1冊です。

気になる方は▷MOMENT (集英社文庫)

『永遠の0』百田尚樹

太平洋戦争末期、宮部久蔵は自ら零戦に乗り命を落とした。終戦から60年目の夏、健太郎は祖父である宮部の生涯をたどり、彼を知る人物を訪ね歩いていた。徐々に浮かび上がってくる祖父の人物像。「娘に会うまでは死ねない。」そう言っていた彼はなぜ零戦に乗ったのか。

極限状態の中でいつも宮部の胸の中にいた妻と娘。その彼が命を落とした日の真実にたどり着く時、涙が止まらなくなります。戦争美化、また文学としての批判など賛否両論わかれますが、それでも戦争と平和について、読者のこころに忘れられない杭を打つ作品であるとは間違いなく言えるでしょう。

気になる方は▷永遠の0 (講談社文庫)

現実をぐらぐら揺さぶられる本

『コンビニ人間』村田沙耶香

コンビニの音、コンビニのルール、コンビニの人々。古倉恵子は36歳で18年目のコンビニのアルバイター。コンビニのみが彼女の生活をつくり、店員でいるときにだけ社会の一員になれる。そんなある日バイトに新しく入ってきたのは、婚活目的の白羽という男だった。

人が人をコピーする。合理化されたルールの中で生きる機械になる。主人公が放つ異様な違和感によって、コンビニという誰もが慣れ親しんだハコまで、人ならざる人をクローンで生み出すかのような恐ろしいものに見せる。誰も普通が一体何かを教えてくれない中で、これが現代社会の現実だと突きつけてくる衝撃的な作品です。

気になる方は▷コンビニ人間 (文春文庫)

『ままならないから私とあなた』朝井リョウ

薫と雪子は小学生の頃から親友だった。だが2人の性格は正反対で、合理的で無駄を省く薫に対し、雪子は無駄なものにこそ人間らしい良さがあると考えていた。成長するにつれて二人の価値観の違いはより明らかになっていき、すれ違い始めるようになり、、。

合理化は重要だけれど、人間らしい温かみが宿ることを全て排除してほしくないと思ってしまう。根本的にわかり合うことのない2つの価値観は、それでも幼い日からの友情という絆でつながっていたはずだった。2つの間にあるのが正解でも折り合いでも理解でもないなら、どうやって同じ時間を過ごすことができるのか。正しさとは何なのか考えさせられる1冊です。

気になる方は▷ままならないから私とあなた (文春文庫)

『エンジェル エンジェル エンジェル』梨木香歩

寝たきりに近いおばあちゃんのトイレ当番をする代わりに、コウコは熱帯魚を飼うことを許された。その水槽のモーター音で、おばあちゃんは突然少女のように覚醒する。ある日、2人は水槽で起こったむごい事実を目の当たりにして、、。

周囲からの期待と自己の内面の相反。いい子と言われるほど、内側に存在する残虐性にも自分自身では気づいてしまう。水槽の中での出来事は、世界の不自然さと、静かなる支配を強く印象づける。私と少女時代のおばあちゃんの記憶の、それぞれが抱える孤独と絶望がリンクしていく不思議な作品です。

気になる方は▷エンジェル エンジェル エンジェル (新潮文庫)

いかがだったでしょうか。

色んなジャンルの本がひしめきあう、不思議なおすすめ集になってしまいました。素敵な出会いがあったら嬉しいです😊
ぜひ別のジャンルのおすすめ特集もみてみてください!